スタートから1年を超えた、フィールドフォースのアメリカ・カナダ向けECサイト「Baseball Samurais」。さまざまな出会い、巡り合わせ、そして決断を経て、少しずつですが軌道に乗りつつあります。最短距離だったのか、紆余曲折だったのか…。しかし確実に、前に進んでいます。

もし、東京でなかったら…
先日、不意にこんな質問を受けました。
「吉村さんが東京に住んでいなかったら、今のようなフィールドフォースの商品は生まれていたでしょうか?」
このコラムでも過去に触れていますが、私は生まれも育ちも東京・浅草です。こちとら、ちゃきちゃきの江戸っ子なのです。
質問を受け、考えを巡らせます。
これも、このコラムで何度か触れていますが、フィールドフォースの商品開発には、6つのキーワードがあります。
「簡単組立」「楽々移動」「省スペース」「パートナー不要」「実戦感覚」「くり返し練習」
創業当時から変わらない、わが社の開発理念とも呼べるものです。これらはバットやボールの使用が禁止されている公園であったり、都会の厳しい住宅事情を念頭に設定したものです。さらにいえば、私自身の個人的な練習環境や、住環境も間違いなく影響しています。

一方で、この仕事で出会う全国各地の多くの野球関係者からは、現在も、地方によっては東京ほどの制約がなく、広いグラウンドや公園で野球ができている、という話を耳にします。また、郊外であれば、広くないまでも、ご自宅に多少は投げたり打ったりといった練習ができるような庭のあるご家庭も少なからずあるのではないでしょうか。
そう考えると、もし私が東京で生まれ、東京で野球をしていなかったとしたら、現在のフィールドフォースの商品たちが存在しなかった可能性も十分にあるといえるでしょう。
仮定の話といえばそれまでですが、これもまた、ある種の巡り合わせなのかもしれません。
2024年秋、アメリカにて

アメリカでのビジネス開始を決定する大きなきっかけとなった、一昨年秋の訪米については、当時のコラム(vol.22こちら~vol.25)で詳細に記しました。
私自身は訪米の前、すでにアメリカでのeコマース開始を決断していました。これと決めたことは公言し、いわば自分を追い込むことで前進するのが私の信条であることも、ここでは何度か書いてきましたが、そのときのアメリカ行きは、自分の思いを公言していたがゆえに実現したのです。
アメリカ進出の考えを口にするようになってから、多くの方にいただいていたアドバイスがあります。広大な土地があり、広い庭のある家庭が多い、かの地で商売するためには、商品ラインアップを見直した方がいいのではないか、というものです。
とくに、アメリカでは売れないだろうといわれていたのは、限られたスペースでネットに向かって打撃練習を繰り返すことができる、オートリターンのマシン類でした。
公園で野球禁止の東京と、広大すぎるアメリカと

省スペースで利用可能な、これらオートリターンのマシン類には、硬式球や軟式球、あるいはソフトボールの「実球」を打てるもの、ウレタンボールや穴あきボールを使うもの、直径40ミリの「ミートポイントボール」を使うものまで、いくつかのバリエーションがありますが、国内ではどれもヒット商品となっています。
これらは、前記の商品開発キーワード6つを全て満たす、いってみればフィールドフォースフォースを象徴する商品です。一方で、もっとも日本的(あるいは東京的)事情を念頭に、開発した商品であることも確かです。

一昨年の訪米はある意味、アメリカ向け商品ラインアップを決断するための旅でもありました。オートリターンマシンこそ持っていけませんでしたが、あらゆる訪問先で、フィールドフォース製品の即席プレゼンテーションを行ったのです。
ロケットリリース・発射バンド(FRRSB-100J、200A)やバックスピンリリースボール(FBRB-1)、チョップ三昧(FCPZM-44)など、持ち込んだ練習ギアはどれも好評でした。
しっかりとした理論、裏付けのある商品は、説明すれば理解してもらえる。現地での反応を目の当たりにした私は、やはりアメリカも、日本国内と同じラインアップで行こうと決めたのでした。
オートリターン人気は世界共通!

こうした前置きもありながらスタートした「Baseball Samurais」の運用と、アメリカにおけるeコマース。いざ蓋を開けてみると、もっとも売れているのは、一番心配していたオートリターンマシン各種です。
家庭の室内でできることがウケているのか(家の中で使っている、というレビューは多いのです)、DIYの国アメリカで、自分一人で練習に打ち込める「パートナー不要」がウケているのか、あるいは、日本製品全般の特徴である、マシンの精密さに対する関心の高さなのか…。
いずれにしても、制約が多すぎる東京の環境で生まれた、われわれの商品開発哲学は、海の向こうにもしっかりと届いているのです。まだビジネスの規模は大きくはありませんが、日本と同じ商品ラインアップでいけると確信を持てる結果です。
「Baseball Samurais」は現在も営業企画部の鎌田侑樹部長を中心にサイトの整備と強化、SNSでの発信などを続けており、売り上げも着実に増えています。今月からは新たに、カナダからの注文にも対応を始めました。
加えて、そこには現地における商品の保管や発送といった物流業務全般を委託しているパートナーとの出会いや、協力もあります。これもまた、思いを実行に移すことで新たに生まれた、大切な縁だといえるでしょう。
不確実な時代だからこそ、前進を続けるのです

さらに広い視点で捉えるならば、こうしたわれわれの活動も含めた、すべての情況の前提として、メジャーリーグで活躍している多くの日本人選手の存在があるのも間違いありません。
彼らの活躍により、「日本野球」自体が広く認知され、そのプレゼンスが空前のレベルで高まっていることは事実です。なにせ大谷翔平選手の活躍は、ルールを変えてしまうほどのインパクトをもたらしたのですから…。
これもまたタイミングであり、巡り合わせ。フィールドフォースの商品に目を止めてもらえるのも、そうしたさまざまな要因が有機的につながり、重なった結果ともいえるのではないでしょうか。

始めて2年弱になる、私のインスタグラムは現在、約27,000人の方にフォローしていただいています。その内の1,000人弱が海外の方で、その数も着実に増えています。
国内のフォロワーの方たち同様、そうした海外のフォロワーの皆さんからいただく忌憚のない意見やメッセージにも、背中を押していただいています。
◇ ◇
足元を見れば、先の見えない世界情勢があり、円安も歯止めが利いているのか、いないのか…。国内も、国際的にも、さらにいえばビジネスシーンだけでなく、われわれの日常生活までも、不安定極まりない状況が続きます。
アメリカ・カナダ向けECの健闘は、そんな中で、フィールドフォースにとって明るい光ではあります。ブレることなく、しっかりと地に足をつけ、着実に進んでいければと思っています。